UNeCORN

古今東西の不思議なものを集めて展示するWEBアーカイバ・UNeCORN(ユネコーン)

葬式の写真

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学生時代の友人から急に電話があった。

記憶の中では彼女は気丈な子だったが、そのときは声が弱々しく震えていた。

 

「うちの父親のことなんだけど」

その切り出しに、私は思わず居住まいを正す。

彼女のお父さんは2~3ヶ月前に亡くなったという知らせを聞いていた。

今どき珍しく、彼女は父親っ子だった。

話の先を促したが、電話では伝え難いことらしい。

 

数日後、話を聞くために喫茶店で彼女と会った。

もともと細い子だったが、少し頬がこけたようだった。

他愛のない近況報告ののち、おもむろに彼女は一枚の写真を取り出した。

中年女性が2人と、若い女性と彼女の4人が写っている。

みな喪服姿だった。彼女とその姉、母親、叔母らしい。

「父親のお葬式のときの写真だと思う。」

 

彼女はそれきり何も言わなかったが、一目でその写真の異常さはわかった。

一様に俯き、目を赤く腫らしている女性たちの中で、彼女だけが笑っていた。

それも満面の笑みで。

その曇り一つない笑顔は、なぜか非常に禍々しいものだった。

ふと、どうしてこんな写真が存在するんだろう、と疑問に思った。

葬式の日に写真なんて撮るものだろうか。

 

その写真は彼女の父親の遺影がバックに小さく写っている。

その前景として彼女以外の3人はバラバラのほうを向いて、動き回ってるようだった。

忙しそうな様子から察するに、葬式の最中ではなく前後だろう。

彼女だけがカメラ目線。

「これは誰が撮ったの?」

わからない、と言って彼女は首を横にふった。

 

 

(了)

 

引用元:

【閲覧注意】死ぬ程洒落にならない怖い話をあつめてみない?『婆ちゃん家の仏壇』:哲学ニュースnwk