エミリー
うちには祖母から譲り受けた人形がある。
西洋人形で、凄く可愛い人形。
名前は仮にエミリーとしとく。
このエミリーは祖母が骨董屋さんから譲り受けたもので、曰く付き。
エミリーは、実母から虐待受けた子供が持っていた人形で、その子供が自殺したあと、エミリーに魂が乗り移ったとかなんとか。
そんなエミリーは、その逸話をバカにした旦那を三日三晩謎の高熱で唸らせた強者。
さて本題だが、私が旦那と結婚した年、いろいろな騒動があって、しばらく実家に厄介になることになったんだけど、その時隣近所のママ（幼稚園の子供もち）にエミリーを盗まれた。
私の母親は、そのママに盗まれた、と警察に通報。
でも真剣に取り合ってもらえず、私も当時、2ちゃんねる自体知らなかったから、泣き寝入り状態。
半田舎だったから、騒ぎにするのも気が引けて、なにもしないまま数ヶ月経った。
そしたら、そのママが自殺した挙げ句、旦那さん（以下Bさん）も交通事故起こして、大怪我を負った。
そしたら、そのBさんがエミリー返しに来てくれて、泣きながら謝罪。
実はこの数ヶ月ママの家では不吉な事が起こり続けたらしい。
で、Bさんはその原因が盗んだエミリーにあるとわかり、というか初めてママがいろいろ盗んでいたのを知って、世間体を気にして黙秘しようとしたらしい。
そしたらママはストレスで自殺、Bさん交通事故で、夢うつつにエミリーが出てきて、あなたが娘さんの鏡なのよ………悪い子を育てたいの、を連発されたらしい。
Bさんはそれから目が覚めて、ママが盗んだものを返し、謝罪行脚して、エミリーを返しにきてくれたらしい。
因みにママにエミリーが下した罰は、
・ママの盗んだおもちゃには、どんなに所有者の名前消しても名前が浮かんでくる
・エミリーを連れていくと、なぜか手に物を持ってくる
・娘さんがママとでなくエミリーと会話→ママを泥棒さんと呼ぶようになる
・夢にもエミリー出てきて、泥棒連呼
Bさんはこれで薄々ママの所業に気付いたみたい。
私もこれ聞いて、初めてエミリーの恐ろしさ知ったけど、うちの母親が、きっとろくでもない母親に育てられる娘さんを見たくなかったのね、と。
エミリーはもしかしたら、自分のことと重ねたのかもしれない。
形は違えど、母親がろくでもないのは同じ。
あれ以来、エミリーは柔らかい笑みを浮かべながら、今ではうちの娘と遊んでる。
また、風の噂で、Bさんは昇進、娘さんは優しい子に育ったとか。
うちの旦那は、あの事件以来、エミリー崇拝しまくっているのは余談です。
（了）
引用元：
