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古今東西の不思議なものを集めて展示するWEBアーカイバ・UNeCORN(ユネコーン)

黒い毛糸玉

黒い毛糸玉

私の実家は東北地方の小さい村にあります。

家は田舎ならではというか結構大きく、敷地内には倉まであって、今思えばかなり裕福な家庭だったのかもしれません。

 

その倉なんですが、小学生の頃よく親に隠れて中で友達と遊んでたりしました。

 

ある日、2人で中の骨董品をいじっていた時に変な物を見つけてしまったのです。

大きさは大人のコブシぐらいで、黒い毛糸が絡まったボールのような物で、何であるかはよく分かりませんでした。 

 汚らしく、興味も無かったので私はソレを元の場所に戻そうとしたのですが、友達の一人が何故か興味を示したみたいで、ソレを私から取り上げ、投げて遊びだしたのです。

 

その瞬間世界が暗転しました。

 

気がつけば、私は病院のベッドで寝ていました。

 

後日、親に状況を聞くと、どうやら友達2人と川遊びをしていて流されて溺れたみたいで、一緒に居た友達の一人は亡くなっていたみたいです。

その時は、さっき見ていたのは夢だと思っていました。

 

退院して、親に付き添われて亡くなった友達の家に行った時、仏壇を見て驚きました。

 

お供え物の横に一つだけ明らかに異様な物がありました。

それは夢で見たあの黒い毛糸の塊で、友達の両親いわく、亡くなった時にポケットに大事そうにしまっていたそうです。

 

私は急に怖くなって親の顔を見ると、何故か親の顔も険しくなっていました。

 

帰路につく途中、親が突然、私に問いただして来ます。

倉の中の物に触ってないか、とか色々と聞いてきました。

私は正直に夢で倉で遊んでいた事を話しました。

親は険しそうな顔をしていましたが、その場はそれ以上何も聞いてきませんでした。

 

それから20年近く経った最近になって、あれは何だったのかを聞いてみた所、昔、この地方は水害が酷く、それを治める為に人柱を使って増水を治めるという事をしていたみたいで、その時、犠牲になった人の毛髪を使ってお守りを作っていたらしいです。

それがあの毛糸の塊だったそうです。

 

今思えば、あの夢も夢じゃなかったような気もします。

 

引用元: