UNeCORN

古今東西の不思議なものを集めて展示するWEBアーカイバ・UNeCORN(ユネコーン)

廃病院のカルテ

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6~7年前の話。

当時、私は中学生でした。私達の学校は住宅街の中にありました。学校から少し離れたところに小さめの廃病院がありました。

 

地元の人なら知ってる人が多いですが、その病院は心霊スポットという訳でもなければ、特に幽霊が出るとの噂話や声や足音が聞こえたり、人影を見たなんて話も聞いた事はありませんでした。

ある日、友人と放課後に残って(部活は入っていたが、行かないことがあった)話をしていると、その廃病院の話になりました。怖い話やオカルトものが好きな友人は、

「少し行ってみよう」

と言って来ました。そういったものがあまり好きではない私は断りましたが、あまりに友人がしつこく誘うので、折れてしぶしぶその病院に行く事になりました。

その「廃病院」の前まで来ると、入り口にはロープが張られ、そのロープに「許可なき者の立ち入りを禁ずる」と書かれた看板のようなものがぶら下げられていました。私達はそのロープをくぐり抜けて中へ入りました。

中は思っていた通りにボロボロで、よく病院に行った時に見かける医療器具や車椅子などがそこら辺に散乱している状態でした。

少し行くとナースステーションだったと思われる場所がありました。あまり大きな建物では無かったため、見て回るのにそこまで時間はかかりませんでした。やはり、廃病院というだけあって不気味でしたが、特に何かある訳でもありませんでした。

最後の頃、診察室と思われる部屋に入った時に、診察台の上に紙が一枚置いてありました。よく見ると、それはカルテのようでした。特に何も記入されては無かったです。ですが、そのカルテは妙にキレイでしわひとつついていなかったため、違和感を感じたのを覚えています。

「なんでこんな所に…」

私がそう言うと、友人はそのカルテを拾い後で話の種にするために持ち帰ると言うので、私は止めましたが、結局友人はそのカルテを持ち帰ってしまいました。

その夜、家族と夕食を食べていると電話が鳴りました。母が電話をとると、私にだと言われたので、電話を代わりました。

 

私「もしもし」

相手「もしもし…〇〇さん(私の下の名前)ですか?」

相手は聞き覚えの無い女性の声でした。

私「はい、そうです。どちら様でしょうか?」

相手「失礼いたしました、××病院です。至急、カルテをお返しください」

私は驚きました。××病院とは、今日行った廃病院の名前でした。今日その病院に行ったこと、カルテを持ち去った事を知ってるのは私と友人しかいないはず(友人が誰かに話をしているなら話は別だが)でした。そのため、きっと友人がいたずらをしてるのだろうと思い、

「カルテは今はありません」

と返し電話を切りました。現に、カルテは友人が持ち帰っていたため私は持っていませんでしたし…

次の日、その友人にイタズラ電話の事で文句を言おうとすると、友人が、

「昨日、××病院から電話があったんだけど」

と言ってきたため、私はゾッとして電話の内容を聞きました。友人にかかってきた電話も内容は同じで、至急カルテを返せ、とのこと。

その××病院からの電話は、その日からは私にはかかって来なくなりましたが、友人の所にはかかって来ているようでした。

次の日、金曜日で次の日が休みであったのと、友人が家族が出掛けていて家にいないため怖いというので、友人の家に泊まりに行くことになりました。

その夜、夕食後、居間にて友人と喋っていると電話が鳴りました。友人は無理だと言うので、私が電話に出ました。

 

私「もしもし、〇〇(友人の苗字)です」

相手「もしもし、〇〇さん(友人の名前)ですか?」

私「はい、そうです。どちら様でしょうか?」

相手「××病院です。何度も催促して申し訳ありませんが、至急カルテをお返しください」

このままだと、また明日も電話が来るだろうと思った私は、

「分かりました。明日返します」

と言って電話を切りました。

その後、友人に聞くと、驚いたことに、捨てると何かあるのでは、と思ったらしく、友人はまだカルテを取ってあるとのことでした。私ならすぐに捨ててしまうと思うのですが…

嫌がる友人を説得して、明日カルテを返しに行こうと言うことになりました。正直、私も嫌だったのですが、行かないとおさまらないと思ったのです…

次の日、なんとかその廃病院に行き、診察室の診察台の上にカルテを置いて、友人宅に帰ってきました。帰ってくると同時に電話が鳴りました。私はとっさに電話に出ました。

私「もしもし、〇〇(友人の苗字)です」

相手「もしもし、〇〇さん(友人の名前)。今すぐ手術をするので、急いでいらしてください」

私はとっさに電話を切ってしまいました。友人に電話の内容を話す暇もなく、玄関の扉が叩かれました。その後、家中の窓という窓を叩く音が聞こえて、四方八方から同じ声が飛んできます、

「〇〇さん(友人の名前)、今すぐ手術をするので、急いでいらしてください…」

私は恐怖のあまり気を失ってしまったらしく、そのあとのことは記憶にありません。

その後、私も友人も無事でした。私も友人も大学生になり元気に過ごしています。

その廃病院は今もまだ残っているそうです。

以上、関東某県の話です。

 

 

 

(了)

 

 

引用元:

死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?『山から木の扉を物凄い勢いで締める音がする』:哲学ニュースnwk