UNeCORN

古今東西の不思議なものを集めて展示するWEBアーカイバ・UNeCORN(ユネコーン)

霊界遊び

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小学4年生のころ私のクラスで心霊ブームがおきました。

 

きっかけは1人の女の子Gが、自分は霊能力があって霊能力がある人を見分けられるなんて言い出したことでした。

Gの周りにみんな集まると、一人ずつ手をとって図形?を描いていくんです。

図形を描かれた人には霊能力があるらしく、私も手を出したときに十字架の絵を描かれてちょっとうれしかったような気が……

 

そのGがある日、霊界へ行く遊びを見つけたなんて言いました。

休み時間になるとみんな机にうつ伏せて霊界に行くんです。

私も真似してみたんですけどまったく霊界に行けなくて、どうして霊界に行けるのか不思議でした。

霊界遊びは日が経つごとにエスカレートして、霊界で おじいさんに会ったっていう人や川が見えたなんて人も出てきました。

剣のキーホルダーを握ってれば霊界では本物になってたなんていう人までいたんです。霊界遊びを見つけたGは教祖様みたいな状態になってました。

 

霊界遊びが始まって一ヶ月くらい経ったとき、Gが霊界から戻ってこれなくなったんです。

休み時間が終わりそうになっても目を開けないGを、私たちは声をかけたり体を揺らしたりしてなんとか起こそうとしましたがダメでした。

結局、先生が戻ってきても目を覚まさなくて、慌てた先生がGを抱えて保健室まで連れて行きました。

次の日、Gはふつうに学校に登校してきたので安心したんですが、霊界遊びは危険ということで禁止になりました。

 

霊界 遊びをやめて1週間くらいしたころ、Gの母親がため池で浮いてるのが発見されました。

事故死ということになりましたが、ため池は男の子たちがザリガニなんかとったりするようなところで底が浅く大人が溺れるとは思えません。

 

母親が亡くなったあとのGは人が変わったようにおとなしくなりました。

休み時間は自分の机に座ったまま動かず、話しかけても頷いたり首を振ったりするくらいでした。

最初は気にかけてたクラスメイトも時間が経つに連れてGを放っておくことになり、Gは教室で孤立するようになってました。

 

小学5年生になりクラス替えも行われ、前のクラスでいっしょだった人は5人くらいになってました。

Gとはまたいっしょのクラスになりましたが、Gは相変わらず誰とも話さず机に1人で座ってるままでした。

しばらくは何の問題もない学校生活だったんですが、Gの母親の事故から一年くらい経ったときGがわたしに話しかけてきたんです。

 

「Yちゃん、ちょっといいかな?わたしお母さんに会いたいの」

え?何言ってるんだろう?と思ってると、Gがわたしの表情を見て察したのか、 

「お母さんがもういないってのはわかってるの。でも会える方法があるから協力してほしい。わたし1人だとできないから」と言います。

 

私「どういうこと?」

G「お母さんを霊界から呼び出す方法があるの。そのために人数がいるからYちゃんに集めて欲しい」

 

すごくGがかわいそうに思えて「いいよ」と返事してしまいました

 

G「じゃぁ、女の子をあと1人と男の子3人を集めてきて。場所と必要なものはわたしが準備するから」

 

人集めは割りと楽でした。

霊界事件を聞いた話でしか知らない子たちは、自分もその場にいたら楽しめたのになんて思ってる人が多かったですから。

 

日曜日の朝、私たち6人は○○山の登山口に集まりました。

○○山はお年寄りが健康のために登るような標高も高くない小さな山です。

 

登山道を登り始めて少ししたところで、先頭を歩いてたGはこっちと言って登山道から外れた獣道のようなところに入っていきます。

その獣道をしばらく歩くと開けた場所に出ました。

左側の山の斜面には子供がギリギリ通れるような洞穴が開いてます。

 

「ココだよ」と言いながらGはリュックから懐中電灯を取り出します。

それを受け取った男子たちは洞穴を照らして「すげー!すげー!!」と連呼してました。

Gはリュックからさらに蝋燭と人の形の紙切れを取り出し、わたし達に一つずつ渡しました。

 

G「このヒトガタに自分の名前を書いてね。守ってくれるものだからしっかり書いて!」

 

名前を書き終わったわたし達は洞穴の中に入ろうとするんですが、懐中電灯を持った男子たちがお前が先に行けと言い合いしてて入り口から進めません。

しばらく見てたんですが、痺れを切らしたのかGが「貸して!」と言って懐中電灯を男子から取り中に入っていきました。

 

外からだとわからなかったんですが、洞穴は思ったほど長くなく行き止まりの場所は3畳くらいの空間になってました。

入り口で入るの躊躇ってた男子たちが「ココを秘密基地にしようぜ!」とか言ってはしゃいでましたね。

 

わたし達はココに円形に座りました。

Gの左側はわたしでその隣に女の子、男の子3人が続くという感じです。

 

G「蝋燭を自分の前に立ててヒトガタを左手に持ってね。隣の人はその手に右手を重ねるの」

 

わたしは右に座ってるGのヒトガタの上に右手を重ねます。

 

G「今からお母さんを呼び出すけどわたしがいいって言うまで手を離しちゃダメだよ」

 

みんなはそれに頷きます。

 

G「じゃぁ、始めるからみんな目を瞑って」

 

目を瞑ると蝋燭の火の灯りだけが目の奥でゆらゆらしてます。

隣ではGが何かブツブツと唱えててだんだんと不安になってきました。

 

Gが何かを唱えだして1・2分くらい経ったときでしょうか……

わたしの右手をすごく冷たい手が握ってきたんです。

ビックリしてGと重ねてた手を咄嗟に離してしまいました。

すると風が吹いて蝋燭の炎が全て消えてしまったんです。

真っ暗になった洞穴でパニックになったわたし達は叫びながら外にでました。

 

洞穴の外に出たわたしたちは「なに?なにが起こったの?」なんて言いながら騒いでました。

ふと周りをみると5人しかいません。Gがいないんです。

 

もしかしてまだいるんじゃないかと思い中に入ることにしたんですが、誰も中に入りたがりません。

結局、男子3人が入ることなり洞穴内を確認しましたが中にGはいませんでした。

悩んだ挙句、「コレってGのいたずらじゃないの」って男子の一人が言ったことに納得しわたし達は解散しました。

 

次の日、学校に行くとホームルームでGが家に帰ってきてないことを先生に聞かされました。

ホームルーム後すぐにわたし達は昨日のことを先生に打ち明けました 

その日の授業を欠席し先生達を連れてGがいなくなった場所に行ったんですが、洞穴がないんです。

 

登山道を歩いて途中から獣道に入り開けた場所には出たのに洞穴だけがありません。 

最後にGを見た場所ってことで警察や地元の住人たちで辺りを捜索することになりましたが、Gがみつかることはありませんでした。

 

Gはどこにいったんでしょうか?

わたしが手を離さなかったら行方不明になることはなかったんでしょうか?

 

 

(了)

 

引用元:

死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?『顔が暗い 太陽を直視した後のような』:哲学ニュースnwk